詰め物が取れたけれど痛くない そのまま戻せる?受診までの過ごし方
- 2026年10月16日
- コラム


詰め物が取れたけれど、痛みはない。取れたものも手元にある。それでも、「付け直すだけで済むのか」「治療のために何度も仕事を休むことになるのか」は気になるところです。
詰め物が取れたら、痛みがなくても歯科医院へ早めに連絡してください。取れたものは保管し、自分では付け直さないで持参しましょう。そのまま再装着できる場合もありますが、歯にむし歯や欠けがあれば、先に治療が必要です。
先に知りたいことからお読みいただけます。
痛くないときの受診目安
詰め物が取れたというだけで、すべての方が救急受診を必要とするわけではありません。ただ、「痛くなるまで待つ」のは避けたい対応です。
痛みは、歯の内側にある歯髄、いわゆる神経の状態や、刺激の伝わり方などによって変わります。むし歯があっても、まだ自覚症状が出ていないことはあります。過去に神経を取った歯では、冷たいものがしみなくても、残った歯や根の周囲に問題が起きている可能性があります。
予約時は「詰め物が取れました」に加えて、今の症状を伝えてください。歯科側が受診の優先度を考える材料になります。
| 今の状態 | 連絡・受診の目安 |
|---|---|
| 痛みや腫れはなく、詰め物が外れた | 診療時間内に早めに連絡し、受診日を相談する。次の定期検診まで放置しない |
| しみる、噛むと痛い、尖った部分が舌に当たる | その症状も伝え、早い日程での診察を相談する |
| 強い痛みで眠れない、顔が腫れた、発熱を伴う、ぶつけて歯が大きく欠けた | 当日中を目安に歯科へ連絡する。休診時は休日・夜間の歯科診療などに相談する |
| 口や首が腫れて息苦しい、飲み込みにくい | 通常の歯科予約を待たず、救急医療機関へ。呼吸が苦しい場合は119番に連絡する |
歯を見ないまま「週末までは待ってよい」などと決めることはできません。すぐに時間が取れないときも、取れた歯の状態や症状を伝え、受診日を相談してください。
当院へのご相談は、電話03-6300-0908へ。「右の奥歯の詰め物が今日取れました。痛みと腫れはなく、取れたものは手元にあります」のように伝えていただくと、状況を共有しやすくなります。痛みや腫れがある場合は、その症状を先にお知らせください。
日本歯科医師会の「つめ物・かぶせ物が取れた、飲み込んだ」の案内でも、取れたままにせず早めに歯科で治療することが勧められています。
戻せるかを決める三つの確認
外れた詰め物を見て、「割れていないから使えそう」と思うかもしれません。再利用の判断には、取れたものと、歯の側の両方を調べる必要があります。
診察で確認するのは、大きく分けて次の三点です。
| 確認する対象 | 主な確認点 | 治療の判断との関係 |
|---|---|---|
| 取れた詰め物・被せ物 | ひび、欠け、変形などがないか | 破損している場合は、そのままの再装着が難しくなる |
| 支えていた歯 | むし歯、歯の欠け、土台の脱離などがないか | 先に歯の治療や土台の修復が必要になることがある |
| 歯に合わせた状態 | 縁が合うか、隣の歯との接触や噛み合わせに問題がないか | 戻した後も使える状態かを確かめる |
詰め物が無傷でも、歯の形が変わっていることがあります
詰め物の下や境目にむし歯ができると、歯の一部が失われ、詰め物を支えにくくなることがあります。この場合、外れたものの形がきれいに残っていても、接着し直すだけでは原因に対応できません。
必要なむし歯の治療をした結果、歯の形が変わり、元の詰め物が合わなくなる場合もあります。「壊れていないのに作り直す」と説明されたときは、歯のどこに問題があり、治療で形がどう変わるのかを確認すると理解しやすくなります。
一方、接着部分の問題などで外れ、歯と詰め物の状態、適合に問題がなければ、再装着を検討できます。外れたことだけを理由に、必ず新しく作り直すわけではありません。
「はまりそう」と「治療後も使える」は違います
ご自身で試しに戻すことは控えてください。見た目では元に戻ったようでも、縁にすき間があったり、噛んだときに一部だけが強く当たったりする可能性があります。
歯科での再装着では、歯と詰め物の状態を確認し、清掃や必要な調整をしたうえで、材料に応じた方法で固定します。装着後の噛み合わせも確認します。
再利用できる場合と、むし歯治療や再製作が必要な場合については、愛知学院大学歯学部附属病院の解説でも説明されています。
取れたものは、小さな容器に入れて持参してください

口の中で完全に外れた詰め物に気づいたら、飲み込まないよう取り出し、清潔な小さな容器や袋に入れます。歯についたまま動いているものは、無理に引っ張らず、歯科へ状況を伝えてください。
汚れが気になる場合は軽く水ですすぐ程度にし、付着したものを針で削ったり、強く磨いたりする必要はありません。ティッシュに包んだだけで置いておくと、食後のごみと一緒に捨ててしまいやすいため、保管する場所を決めておきましょう。
被せ物と一緒に棒のようなものや歯に似たかけらがついていた場合も、取り外さず、その状態で持参してください。土台ごと外れているのか、歯の一部が欠けているのかを調べる手がかりになります。
ここで説明しているのは、治療で入れた人工の詰め物・被せ物の扱いです。転倒などでご自身の歯が根ごと抜けた場合は、対応と緊急度が異なります。乾燥させたまま保管せず、すぐに歯科へ連絡して指示を受けてください。
接着剤で戻すと、次の治療を妨げるおそれがあります
家庭用の瞬間接着剤や工作用接着剤で、詰め物を固定しないでください。口の中の治療に使う材料ではなく、適切な位置で接着できなかったり、歯科で取り除く処置が必要になったりします。
接着していない詰め物を、見た目を整えるために口へ戻しておくのも避けましょう。食事や会話、睡眠中に外れれば、飲み込んだり気道に入ったりするおそれがあります。予定があって見た目が気になる場合は、その事情を歯科へ伝え、仮の処置が可能か相談してください。
飲み込んだかもしれないときは
外れたはずなのに見つからず、飲み込んだ可能性がある場合は、すぐに歯科医院や医療機関へ連絡してください。大きさや形、先端の尖り方、症状によって確認が必要です。「そのうち便に出るだろう」と自己判断で待たないようにしましょう。
咳き込みが続く、息が苦しい、ゼーゼーする場合は、気道に入った可能性もあります。速やかに医療機関を受診し、呼吸困難がある場合は119番へ。無理に吐こうとすることは避けてください。
飲み込んだ後に腹痛や飲み込みにくさが出た場合も、歯科の予約を待たず医療機関へ相談してください。
受診までの食事と歯磨きで気をつけたいこと
詰め物が取れた歯では、もともと治療のために削った部分が露出しています。残った歯の厚みや形によっては、硬いものを噛んだときに欠けることがあります。痛まないからと、普段どおりに噛んで強さを試す必要はありません。
受診までは、取れた歯に負担をかけにくい食事にします。硬いせんべいや氷、粘着性の強いものは控え、食べやすい大きさにして、できる範囲で反対側を使いましょう。反対側にも痛みや問題があれば、無理に噛まず、やわらかい食事を選んで歯科へ相談してください。
冷たいものや熱いものがしみるときは、刺激の少ない温度に調整します。痛みを確かめるために、繰り返し冷水を当てる必要はありません。しみるかどうかだけでは、神経の状態は判断できません。
歯磨きを全部やめる必要はありません。周囲はやわらかめの歯ブラシでやさしく清掃し、食後は水やぬるま湯ですすぎます。穴の中を爪楊枝や針で掘ったり、引っかかるフロスを力任せに引き抜いたりしないようにしましょう。触れるだけでも強く痛む場合は、清掃を無理に続けず相談してください。
穴にガムなどを詰めて代用することも勧められません。歯科での一時的な封鎖とは異なり、清掃や診察の妨げになる可能性があります。
途中で痛みが出た場合、市販の鎮痛薬で一時的に和らげられることはありますが、歯の修復にはなりません。持病、妊娠、服薬、薬剤アレルギーなどがある方は使用前に薬剤師へ確認し、製品の用法・用量を守ってください。痛みが強くなったら、予約日を待ってよいか歯科へ連絡しましょう。
診察では、外れた理由と残った歯を調べます

「キャラメルを食べたから」「フロスを使ったから」と、直前の行動が気になることもあるでしょう。ただし、その動作は外れるきっかけであって、原因のすべてとは限りません。
接着部分の変化、むし歯、歯や修復物の破損、噛む力のかかり方などを合わせて確認します。
受診時には、次の内容を分かる範囲で伝えてください。
- いつ、何をしているときに取れたか
- 取れる前に、しみる・噛みにくい・食べ物が挟まるなどの変化があったか
- その歯を治療したおおよその時期と、外れたのが初めてかどうか
- 取れたものが手元にあるか、飲み込んだ可能性がないか
治療した年や材料の名前を覚えていなくても受診できます。「数年前に入れた奥歯の銀歯」など、思い出せるところからで構いません。
西新宿院では、検査結果をもとに治療の進め方をご説明します
TOKYO DENTAL OFFICE 西新宿の初診では、症状やご希望を伺い、口腔内写真、X線写真、歯周病検査などをもとにお口の状態を把握します。その日に分かる範囲の状態と治療計画を説明し、詳しい検査結果や今後の流れは、後日あらためて資料とともにご説明することがあります。すぐに対応が必要な歯には応急処置を行います。
詰め物が取れたときには、目で見える穴だけでなく、残っている歯、周囲の歯ぐき、隣の歯との関係なども判断材料になります。レントゲンだけですべてが分かるわけではなく、口の中の診査と経過を合わせて考えます。
帰宅前には、ご自身の歯が仮の状態なのか、最終的な修復まで済んだのかを確かめましょう。次はむし歯の治療を続ける日なのか、型取りをする日なのか、できあがったものを装着する日なのか。そこまで分かると、次の予約を何のために取るのかもはっきりします。
ご来院前の流れは、当院の初診のご案内でも確認できます。診察に必要な時間は症状や予定する処置によって変わるため、お仕事の合間など時間に制約がある場合は、予約時にお知らせください。
被せ物を支える歯の形も、治療で考えることの一つです
被せ物を作り直すときは、材料を決めるだけではなく、土台となる歯の形を整える処置が必要になることがあります。この処置を「支台歯形成」といいます。口を開けられる程度や歯の位置など、実際のお口の条件を踏まえて進める工程です。
酒井敏貴理事長は、サージテル公式のインタビューで、西新宿院の開業を機に、歯科医師が見ている方向から処置を記録するカメラを導入したと説明しています。自身の治療動画を歯科医師間の教育に使い、支台歯形成も、口の開き方や歯の位置などが異なる例を共有していると話しています。
これは、診療中の手の動きや処置を見る角度を、言葉だけでなく映像でも伝える取り組みです。詰め物が取れたすべての方に歯を削る処置が必要なわけではありませんが、作り直す場合には、被せ物を支える歯の形も検討の対象になります。説明の際は、何を補うためにどの部分を整えるのかも確認してください。
初日の診察でどこまで進められるか
初日は、再装着や樹脂での修復まで進められることもあれば、歯を仮に保護して次回につなぐこともあります。詳しい検査や根の治療を先に行う場合もあり、その日の処置は歯の状態によって変わります。
その日のうちに再装着まで進める場合
前述の三つの確認を経て、再利用できると判断された場合は、その回で再装着まで進められることがあります。必要な処置と確保できる診療時間によって、当日の進め方をご案内します。
再装着後も、噛んだときに高く感じる、痛みが続く、同じ場所に食べ物が挟まるなどの変化があれば伝えてください。外れたものを戻した後の使い心地も、確認が必要です。
歯を修復する、または製作と装着を別日に進める場合
むし歯や歯の欠けがあれば、その範囲に応じて治療します。小さな範囲なら歯科用の樹脂で修復できる場合もありますが、形を整えて型取りなどを行い、新しい詰め物・被せ物を作る場合もあります。
製作が必要な治療では、歯を整える段階と装着する段階が分かれることがあります。初日は歯を保護し、むし歯の治療や型取りを後日に進める場合もあります。その間の仮の詰め物や仮歯は、最終的な修復物と同じ強さではありません。食事や清掃の注意と、次の受診日を確認してください。
処置後に一時的にしみたり、むし歯が深い場合には経過を見ながら追加の治療を検討したりすることもあります。作り直せば将来外れない、むし歯にならないというものでもなく、治療後の清掃と定期的な確認が必要です。
むし歯が見つかった場合の基本的な対応は、当院のむし歯治療でご案内しています。
根の治療などが必要で、修復までに段階を踏む場合
歯の神経や根の周囲に炎症・感染があると判断された場合は、根の治療などが必要になることがあります。根管治療とは、歯の内部にある根の管を清掃し、感染への対応を行う治療です。詰め物が取れた方全員が受ける処置ではありません。
また、歯や根が大きく割れているなど、保存が難しい状態が見つかることもあります。その際は、残せる可能性、治療の負担や限界、別の選択肢について説明を受けて判断します。
応急処置で痛みが落ち着いても、修復が終わったとは限りません。仮の状態で過ごす期間や次回の処置を確認し、通院を続けてください。
今回の費用と最後までの治療費

費用を相談するときは、「今回の診察・検査・応急処置にかかる費用」と、「歯を使える状態に戻すまでの治療費」を分けて確認してください。初日は歯の保護まで行い、後日むし歯治療や修復物の製作に進む場合、初回の支払いだけでは総額を把握できません。
保険診療の対象になる場合もありますが、治療内容や材料、適用条件、以前の治療の扱いなどによって異なります。以前入れたものが自由診療だった場合は、再装着の費用や保証条件を、治療した医院へ確認するとよいでしょう。別の医院で同じ保証が引き継がれるとは限りません。
作り直す際は、見積もりの金額だけでなく、次の三点を確認しておくと、あとで認識が食い違いにくくなります。
- 検査、むし歯治療、土台、仮歯などは、示された費用に含まれるか
- 選べる治療と材料は何か。それぞれ保険診療か自由診療か
- 装着までに必要な通院と、追加の処置が生じる可能性はあるか
白い材料に変えたいなどの希望も相談できますが、まずは歯の状態から選べる方法を確認します。高価な材料を選ぶだけで、外れた原因や噛む力の問題が解決するわけではありません。
詰め物が取れたときのよくある質問
取れたものをなくしてしまいました。探してから受診すべきですか?
見つからなくても受診してください。歯の側を調べて、今後の修復方法を考えられます。飲み込んだ可能性がある場合は、その点を先に伝えましょう。破片が一部だけ見つかった場合も、持参すると参考になります。
白い詰め物のかけらも、付け直せますか?
白い材料には、歯の中で樹脂を固めたものと、別に製作して装着したものなどがあります。見た目だけでは区別しにくく、欠け方によっては、そのかけらを戻すより、新たに樹脂を詰めたり作り直したりする方法を検討します。ご自身で材料を判断せず、見つかったものを持参してください。
治療中の仮の詰め物が取れたときも同じですか?
まず治療中の医院へ連絡し、次の予約まで待ってよいか確認してください。仮の詰め物には、治療途中の歯や根の内部を保護する役割があります。表面が少し減った状態と、全体が外れて穴が開いた状態では対応が異なるため、見た目だけで判断しないようにしましょう。
治療した医院が遠く、通えません
お近くの歯科医院で相談できます。治療時期や以前の説明、材料の分かる書類があれば持参してください。ただし、資料を取り寄せるために、痛みや腫れのある状態で待つ必要はありません。遠方で治療した歯であることを伝え、まず今の状態を診てもらいましょう。
西新宿で、詰め物・被せ物が取れてお困りの方へ
「元の詰め物を使えるか知りたい」「作り直す場合の費用が心配」。受診時には、気になっていることをお聞かせください。TOKYO DENTAL OFFICE 西新宿では、検査結果と患者さんのご希望を踏まえて、治療の進め方をご説明します。
当院は、西新宿駅2番出口から徒歩6分、中野坂上駅A1出口から徒歩5分、イオンフードスタイル店内2階にあります。
急な脱離や痛みがある場合は、電話03-6300-0908へ、取れた場所と症状をお伝えください。当日の診察可否や時間は、予約状況などを踏まえてご案内します。
通常のご予約は、TOKYO DENTAL OFFICE 西新宿のWEB予約からも受け付けています。取れたものは容器に入れて持参し、受診まではその歯で硬いものを噛まないようにお過ごしください。
監修予定

酒井 敏貴(さかい としき)
医療法人社団 旺誠会 理事長/歯科医師
2010年、日本大学歯学部卒業。2021年にこうとうデンタルオフィス木場、2024年にTOKYO DENTAL OFFICE 西新宿を開院。日本補綴歯科学会、日本歯周病学会に所属。詰め物・被せ物などの補綴治療を含め、お口全体の状態と患者さんの希望を踏まえた診療に取り組む。





